PostgreSQLデータベースを検索する
この記事は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」をテーマに、気象データの利用方法の普及と気象関連ソリューション開発を促進するためのナレッジを提供することを目的として作成しています。
今回は、PostgreSQLデータベースに登録されているアメダス観測データをPythonで検索する方法について解説していきます。
PostgreSQLデータベースにアメダス観測データを登録する方法については、以下で詳しく解説していますので参考にしてください。
PostgreSQLデータベースを検索する
今回使用する環境については、以下のとおりです。
OS | AlmaLinux release 9.3 (Shamrock Pampas Cat) |
データベース | psql (PostgreSQL) 15.6 |
Python | pip 20.2.4 Python 3.12.1 |
Pythonのモジュールをインストールする
初めにPythonの仮想環境を作成します。
[workuser@devsrv01 ~]$ python3.12 -m venv ~/venv/test_env01
[workuser@devsrv01 ~]$ ls ~/venv
test_env01
作成したPythonの仮想環境を活性化します。
[workuser@devsrv01 ~]$ source ~/venv/test_env01/bin/activate
(test_env01) [workuser@devsrv01 ~]$
活性化したPythonの仮想環境に必要なモジュールをインストールしていきます。pipのアップグレードについて示唆されていますが、今回は無視します。
(test_env01) [workuser@devsrv01 ~]$ pip3.12 install psycopg2-binary pandas
・・・<途中省略>・・・
[notice] A new release of pip is available: 23.2.1 -> 24.0
[notice] To update, run: pip install --upgrade pip
Pythonの仮想環境にインストールしたモジュールのリストを表示します。
(test_env01) [workuser@devsrv01 ~]$ pip3.12 list
Package Version
--------------- -----------
numpy 1.26.4
pandas 2.2.1
pip 23.2.1
psycopg2-binary 2.9.9
python-dateutil 2.9.0.post0
pytz 2024.1
six 1.16.0
tzdata 2024.1
python-binary
は、PostgreSQLデータベースに接続して操作するためのPythonモジュールです。また、今回はデータベースから検索したデータをデータフレームに格納するので、pandas
もインストールしておきます。
コードを作成する
環境の準備ができたらコードを書いていきます。今回のコードの全体は、以下のとおりです。
import psycopg2
import pandas as pd
import os
# PostgreSQL接続情報
ip_add = '192.168.11.220'
db_name = 'test_database'
user_name = 'workuser'
# 環境変数からパスワードを取得する
authstr = os.environ.get('DB_PASSWORD')
# データベース接続文字列の作成
dsn = f"host={ip_add} dbname={db_name} user={user_name} password={authstr}"
#初期化
conn = None
# データベース操作
try:
# データベースに接続する
conn = psycopg2.connect(dsn)
print("データベースに接続しました。")
# DBインターフェースのインスタンスを作成する
cur = conn.cursor()
# DBインターフェースを介してSQLを実行する
cur.execute('SELECT * FROM obsdata.amedas')
# DBインターフェースを介してカラム名を取得する
cols = [col.name for col in cur.description]
# 検索した全データをPandasデータフレームに格納する
df = pd.DataFrame(cur.fetchall(), columns = cols)
except psycopg2.Error as e:
print("データベース接続エラー:", e)
finally:
# 接続を閉じる
if conn is not None:
conn.close()
print("接続を閉じました。")
print(df)
作成したコードの内容についてポイントを解説します。
まず初めに、PostgreSQLデータベースを操作するためのpsycopg2
、データフレームのpandas
とos
をインポートします。
import psycopg2
import pandas as pd
import os
次に、PostgreSQLデータベースの接続情報を設定します。データベース接続には、接続先、データベース名、ユーザ名とパスワードが必要です。
パスワードは、セキュリティの観点から環境変数に設定したものを利用するようにします。
設定した接続先、データベース名、ユーザ名とパスワードからデータベース接続文字列を作成します。
# PostgreSQL接続情報
ip_add = '192.168.11.220'
db_name = 'test_database'
user_name = 'workuser'
# 環境変数からパスワードを取得する
authstr = os.environ.get('DB_PASSWORD')
# データベース接続文字列の作成
dsn = f"host={ip_add} dbname={db_name} user={user_name} password={authstr}"
データベース接続で例外処理が発生した場合に対応するため、try-except構文で記述します。
PostgreSQLデータベースへの接続はpsycopg2.connect()
にデータベース接続文字列dsn
を渡してセッションを開始します。
データベースの操作は、cursor
と呼ばれるインターフェースにより実行されます。
データベースのセッションconn
にカーソルcursor
を結合して、DBインターフェースのインスタンスcur
を作成します。
cur.execute()
にSQL文を渡して処理を実行します。検索結果は、cur.fetchall()
で取得することができます。cur.fetchall()
で取得した検索結果を、Pandasのデータフレームに入力しています。
#初期化
conn = None
# データベース操作
try:
# データベースに接続する
conn = psycopg2.connect(dsn)
print("データベースに接続しました。")
# DBインターフェースのインスタンスを作成する
cur = conn.cursor()
# DBインターフェースを介してSQLを実行する
cur.execute('SELECT * FROM obsdata.amedas')
# DBインターフェースを介してカラム名を取得する
cols = [col.name for col in cur.description]
# 検索した全データをPandasデータフレームに格納する
df = pd.DataFrame(cur.fetchall(), columns = cols)
次に、例外処理が発生したときの処理を記述します。以下の例では、エラーメッセージを出力させています。
これにより、データベース接続や処理で例外処理が発生した場合でも、スクリプトは正常に終了するようになります。
except psycopg2.Error as e:
print("データベース接続エラー:", e)
最後に、すべての処理が終わったときに共通で実行する処理を記述します。以下の例では、データベースとのセッションが残っている場合は切断する処理を行っています。
finally:
# 接続を閉じる
if conn is not None:
conn.close()
print("接続を閉じました。")
データベースを検索してみる
では、環境変数にパスワードを設定したのち、作成したスクリプトでデータベース検索してみます。
(test_env01) [workuser@devsrv01 PostgreSQL]$ export DB_PASSWORD=********
(test_env01) [workuser@devsrv01 PostgreSQL]$ python3.12 main.py
データベースに接続しました。
接続を閉じました。
ymdi tempc precip prec_flag wspd wdir dewpc relhum
0 2024-02-01 01:00:00 9.3 0 1 1.1 北 1.9 60
1 2024-02-01 02:00:00 8.9 0 0 1.5 北西 2.3 63
2 2024-02-01 03:00:00 8.9 0 0 2.5 北北西 0.9 57
3 2024-02-01 04:00:00 8.6 0 0 2.2 北北西 1.3 60
4 2024-02-01 05:00:00 8.2 0 0 1.3 北 1.6 63
.. ... ... ... ... ... ... ... ...
691 2024-02-29 20:00:00 8.3 0 0 2.8 北東 5.9 85
692 2024-02-29 21:00:00 7.6 0.5 0 1.2 北北東 7 96
693 2024-02-29 22:00:00 7.2 1 0 2 東北東 6.6 96
694 2024-02-29 23:00:00 7.2 0.5 0 2.2 北 6.6 96
695 2024-03-01 00:00:00 7 2 0 3.7 北東 6.7 98
[696 rows x 8 columns]
アメダス観測データの検索結果がPandasデータフレームで表示されました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、PythonでPostgreSQLデータベースからデータを検索し、その結果をPandasデータフレームに代入する手順について解説しました。
気象データサイエンスの現場において、データベースを活用した処理は避けて通ることはできないくらい重要かつ基本的な事項となります。
表計算ソフトでもある程度の処理はできますが、大規模なデータを扱うとなれば限界があります。
データベースを利用することで、大規模なデータの集合体から必要な情報を効率的に抽出することができ、さらにリアルタイムでデータベースに記録されるデータにも機動的に対応することができます。
気象データサイエンティストの基本テクニックとして、参考になれば幸いです。
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