WooCommerceでECサイトを作ろう(導入編)

この記事では、無料で利用可能なWordPressプラグインのWooCommerce(ウーコマース)について解説していきます。

WooCommerceとは

WooCommerceロゴイメージ

WooCommerceは、サンフランシスコに本拠地を置くAutomattic社が中心となり開発されたWordPress専用のプラグインで、既存のWordPressで作成されたウェブサイトに無料でECサイト機能を追加することが可能です。

Automattic社は、WordPress.com(無料ブログサービス)やWordPress.org(ダウンロード型ブログソフトウェア)の開発元でもあるため、同社と世界中の協力者によって開発されているWooCommerceは、今世界中でもっとも注目されています。

世界のECサイトの状況

builtwith.comで検索すると、世界全体のECサイトの31%(2020年10月現在)はWooCommerceを利用して作成されていることがわかります。

国内で確認されているECサイト約4.7万件(2020年10月現在)の利用技術の割り合いを見てみると、GMOメイクショップとBASEで26%を占めており、国内ではインターネット上で簡単にネットショップが開設できる有料サービスに人気が集まっているようです。また、Welcart(国産のWordPress用ECサイトプラグイン)が11%のシェアで続き、国内におけるWooCommerceの利用は、わずか8%程度にとどまっています。

世界では、WordPressとWooCommerceの利用により無料でECサイトを構築できることに重点が置かれているのでしょう。一方、国内ではECサイトの構築や保守に対する有料サービスを重要視していることが考えられます。文化的考え方やITリテラシレベルの違いなども考えられます。

ECサイトを選ぶポイント

ネットショップなどECサイトを構築する上で重要なことは、ECサイト開設までの時間、手間と利用料金の大きく3つに絞られるのではないでしょうか。

有料ECサイトとして世界的にも有名なShopifyと無料ECサイトプラグインのWooCommerceについて、ECサイト開設までの時間、手間と利用料金の3つの視点で比較してみましょう。

ShopifyWooCommerce
ECサイト開設までの時間1ヵ月以上1ヵ月以上
手間ブラウザから設定可能
基本情報、商品登録や料金支払い方法の設定など多数あり。
無料及び有料テーマが利用可能
カスタマイズは、HTML、CSS、Liquidの知識が必須
既設のウェブサイトは不要
ブラウザから設定可能
基本情報、商品登録や料金支払い方法の設定など多数あり。
無料及び有料テーマが利用可能
カスタマイズは、HTML、CSS、PHPの知識が必須
WordPressを運用していることが前提条件
利用料金月額制サービス利用料(ベーシックプラン3,000円程度~)無料(ただし、レンタルサーバ利用料を除く。)
ECサイト開設までの時間、手間と料金の比較

ECサイト開設までの時間は、どちらもネットショップとして完全に運用できるようになるまでには、少なくとも1ヶ月以上かかる見込みです。ECサイトの規模によっては3ヵ月以上かかる場合もあります。

いづれも、無料や有料テーマを利用して構築していきます。ウェブサイトの見た目をカスタマイズするだけならHTMLやCSSの知識で十分対応できます。ウェブサイトの機能的な部分をカスタマイズする場合、Sopifyは専用言語のLiquid、WooCommerceではPHPの知識も必要となります。

ECサイトの構築全体を外注する場合、一般的な小規模ネットショップの構築でも外注費は約50万円から200万円が相場となっているようです。大規模になると1,000万円を超える場合もあり、この点については決して見過ごすことができるものではありません。最低限の作業はオーナー側で実施することとし、オリジナルのデザインや機能の追加・修正などの部分的な作業について外注するなど工夫しコストを削減するのがよいでしょう。

WooCommerceの場合はWordPressを運用していることが前提条件となるため、この分の手間が余分にかかることなります。Shopifyの場合はウェブサイトを持っていなくてもECサイトの開設が可能です。

Shopifyの利用料金はプランごとの月額制となっています。WooCommerceは無料ですがWordPressを運用するためのレンタルサーバ利用料金が別途必要となります。レンタルサーバの月額利用料は1,000円程度が相場ですので、Shopifyのベーシックプラン(月額3,000円程度)の利用と比べても、WooCommerceの利用の方が必要経費を少なくすることができるため、小規模事業の方々にも安心してお勧めできます。

ECサイトのサービスを選ぶ上で一番最初に検討したいことは、WordPressの利用状況と利用料金ではないでしょうか。筆者は、WordPressを既に持っている方ならば、経費の観点からWooCommerceを利用してECサイトを構築することをお勧めしています。

国内のWooCommerceを利用して構築されたECサイトの数は、約2,500件(2020年10月時点)確認されています。詳細は、builtwith.comから確認できますので、興味のある方は実際のウェブサイトにアクセスしてみてください。とても参考になることでしょう。

WooCommerceとWelcartの比較

国内では、WordPress用のECサイトプラグインであるWelcartが有名です。Welcartは、福井県に本社を置く日本企業のコルネ株式会社によって開発されており、WooCommerceと同様に無料で誰でも利用可能なWordPress用プラグインです。Welcartは日本のマーケットにとても親和性が高いとして、国内で大人気のECサイトプラグインです。日本語による有償サポートサービスも同社から提供されています。

一方、WooCommerceは米国のAutomattic社から提供されていますが、世界中の協力者とともに開発が続けられているため、日本語への対応も進んでおり、日本のマーケットにも次第に馴染むようになってきました。

WelcartとWooCommerceのECサイト機能についても大差はありません。そのような点においては、WelcartもWooCommerceも差別化の壁はなくなりつつある現状です。

では、WelcartとWooCommerceのどちらを選ぶのがよいのでしょうか。結論から言ってしまえば、大きな差がないないため、どちらを利用してもいいということになります。

強いて差別化するのであれば、WooCommerceはWordpressと同一の開発グループによって開発されており、WordPressテーマに対する依存度が低いため、有料や無料問わず様々なテーマをベースにしたECサイト開発に対する自由度が高いという点です。

Welcartは、利用するWordPressテーマによっては相性が悪いものがあるため、Welcart専用のWordPressテーマと一緒に利用するケースが多いようです。そのため、特定のWordPressテーマで既に構築されたウェブサイトに対してWelcartを利用する場合は、テーマ変更の可否など十分な検討が必要となります。

いづれにしても、サイトデザインをカスタマイズする必要があるならば、ある程度の開発は不可避です。筆者がWooCommerceを推奨する理由は、31%を誇る世界シェアとWordPressテーマに対する依存度が低いことの2つの点だけです。

コルネ株式会社のシステム戦略では、WelcartとWooCommerceを使ったWordPressのECサイト作成が掲げられています。また同社の営業戦略では、Welcartの海外進出事業も掲げられています。近い将来、WelcartとWooCommerceの両方のいいところ取りした新しいWordPress用プラグインが開発されるかもしれませんね。コルネ株式会社の企業理念や経営戦略については、こちらのページから確認してみてください。

編集後記

今回は、WordPress用のECサイトプラグインであるWooCommerceを利用してECサイトを構築するにあたり、世界シェア、利用料金や他のWordPressプラグイン(Welcart)との比較を踏まえて記事にまとめてみました。ここまでこの記事を読んでいただいた読者の方は、WooCommerceを利用する利点がなんとなくお判りいただけたのではないでしょうか。

WordPressを既に持っているならば、WooCommerceを使わない手はありません。また、WordPressを持っていなくてもWordPressとセットでECサイトを導入することにより、ブログ機能を持ったネットショップをほぼ無料で手に入れることができ、あなたのビジネスに劇的な変化をもたらす強力で優秀なパートナーとなってくれることでしょう。

ECサイトを持つハードルは、ちょっと以前に比べて格段に低くなってきました。新しい生活様式が世界中に広まりつつある中で、ネットショップによる商品販売の需要はますます高まっていくことでしょう。特に個人事業などの小規模事業者の方々は、今すぐにでもネットショップ経営を始めることをご検討ください。

ご不明な点やお悩み事などございましたら、ボランティアでご相談に対応させていただきますのでお気軽にお問い合わせください。

次回は、WooCommerceを利用したECサイトの構築手順について解説していきますのでご期待ください。

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