Jetpackが有料なら、無料で全部できるMatomoでよくない?

これまで多くのWordPressユーザーにとって、アクセス解析の第一選択肢は「Jetpack」が定番でした。特別な設定不要で、管理画面を開くだけで日々のアクセス推移がわかる「統計機能」は、サイト運営のモチベーションを支える欠かせないツールだったはずです。

ところが2022年後半、これまで完全無料だった「Jetpack」の統計機能に対し、商用サイトを対象とした有料化を運営元であるAutomattic社が突如発表しました。当初は「収益の大きなサイトだけだろう」と楽観視していたユーザーも多かったようですが、その後、事態はより深刻な方向へ進展しました。

現在では「商用」の定義が極めて厳格化されており、Googleアドセンスを一枚でも貼っている、あるいはアフィリエイトリンクが1本でもあるだけで、有料サブスクリプション契約が求められるようになりました。さらに2024年から2026年にかけては無料枠の制限が一段と強化され、制限を超えた瞬間に過去のデータまで閲覧不能になる「ブラックアウト」に陥るウェブサイトが続出したのです。

昨日まで当たり前に見えていたデータが、ある日突然、支払いを促す警告文に置き換わる——。これはサイト運営者にとって、大切な解析データを「人質」に取られたも同然です。かといって、規模の小さな個人運営サイトが毎月数千円のコストを払い続けるのは、現実的な判断とは言えません。

「解析データが見えないのは困るけれど、Jetpackに縛られ続けるのはもっといやだ」

そう感じている皆さんに、本記事では、無料かつ解析データの所有権を完全に保持しながら、自分のサーバーで自由に解析ができる「Matomo Analytics(マトモ)」へ乗り換える手順について解説していきます。

Jetpackが有料なら、無料で全部できるMatomoでよくない?

ここからは、WordPressの「Jetpack」プラグインを削除した後に「Matomo Analytics for WordPress」プラグインをインストールして設定する手順について、順を追って解説していきます。

「Matomo Analytics for WordPress」プラグインは完全無料のプラグインです。この他にMatomoの運営会社が用意したクラウド上にデータを保存する「Matomo Web & Mobile Analytics Cloud」という月額有料サービスが提供されていますので、混同しないように注意してください。

Jetpackプラグインのアンインストール

管理メニューの「プラグイン」から「インストール済みのプラグイン」をクリックします。

「Jetpack」プラグインの「無効化」をクリックします。以下のようなダイアログが表示されます。「無効化」ボタンを押下すると、「Jetpack」プラグインが無効化されます。

「Jetpack」プラグインの「削除」をクリックすると削除が完了します。プラグインの削除とともに統計データは管理画面から確認できなくなるので注意してください。

Matomo Analytics for WordPress のインストール

管理メニューの「プラグイン」から「プラグインを追加」をクリックし、右上の検索窓に「Matomo Analytics for WordPress」**と入力します。以下のプラグインの「今すぐインストール」ボタンを押下し、プラグインをインストールします。

プラグインのインストールが完了したら、「有効化」ボタンを押下します。

これで、「Jetpack」プラグインの削除と「Matomo Analytics for WordPress」プラグインのインストールは完了しました。

Matomo Analytics for WordPressの設定

ここからは、「Matomo Analytics for WordPress」プラグインの各種設定を行います。

トラッキングの開始設定

管理メニューの「Matomo Analytics」から「始めてみる」をクリックします。「トラッキングを有効化」ボタンを押下すると、デフォルトの自動(推奨)モードでトラッキングコードを自動的に生成し、サイト内のトラッキングが開始されます。

「このページを隠す」ボタンを押下すると、管理メニューの「Matomo Analytics」から「始めてみる」が非表示化されます。

トラッキングの除外設定

管理メニューの「Matomo Analytics」から「設定」をクリックします。

「除外」タブをクリックして、「トラッキングフィルタ」の設定でAdministratorにチェックを入れ、トラッキングから除外します。また、「全般的な除外IPリスト」に自己のサーバのIPアドレスなどを設定し、内部からのアクセスに対するアクセスについても、トラッキングから除外することができます。

それぞれのサイトの運営に合わせて、トラッキングの設定を行ってください。

最後に「保存」ボタンを押下して設定内容を保存してください。

過去データの削除設定

Matomoは自サーバー内で解析を行うため、何もしないとデータベースが肥大化し、サイトの挙動に影響を与える可能性があります。長期的に安定運用するため、必ず以下の削除設定を行っておきましょう。

管理メニューの「Matomo Analytics」から「設定」をクリックします。「Matomo管理者」タブをクリックすると、Matomo Analyticsの管理者画面が表示されます。

管理メニューの「システム」から「一般設定」をクリックします。

「’古いビジターログとリポートを削除設定’にアクセスするには、ここをクリックしてください。」リンクをクリックします。

「古い生データを定期的に削除する」と「古い集計レポートデータを削除する」のそれぞれにチェックを入れて「保存」ボタンを押下します。

チェックを付けると設定の詳細が表示されますが、今回はデフォルトのままとするので説明は割愛します。

「保存」ボタンを押下すると、以下のようにパスワードの入力が求められるので、WordPressの管理画面にログインしているユーザーのパスワードを入力し「確認する」ボタンを押下します。

これはWordPressのセキュリティ機能によるものです。不正な設定変更を防止するためのステップですので安全です。

入力したパスワードに誤りがなければ、設定が保存され有効化されます。

なぜMatomoはGA4の代替として選ばれるのか?

Matomoの公式サイトでは、GA4に代わる「プライバシーに配慮した最強の選択肢」であることが明確にうたわれています。これは単なる宣伝文句ではなく、特にデータ保全とDPRA(データプライバシー規制)の2つの観点において、GA4にはない決定的な優位性があるからです。

データ保全:100%のデータ所有権

GA4をはじめとするクラウド型サービスでは、収集されたデータは実質的にサービス提供側のプラットフォーム上に存在します。一方、Matomo(セルフホスト版)の最大の特徴は、「データの完全な自律性」です。

  1. データの保管場所: 解析データはすべて自分のサーバー(WordPressのデータベース)内に保存されます。第三者のクラウドにデータが流出したり、サービス終了によってデータが失われたりするリスクをゼロにできます。
  2. サンプリングなしの真実: GA4ではデータ量が増えると推計値(サンプリング)が表示されることがありますが、Matomoは全てのログを自前で保持するため、常に「100%正確な生データ」を保全し、いつでも自由にエクスポートや分析が可能です。

DPRA(データプライバシー規制)への適合性

GDPR(欧州一般データ保護規則)や日本の改正個人情報保護法など、世界的にデータプライバシー保護(DPRA)の動きが加速しています。GA4はこの点で「データの米国転送問題」などの法的な懸念を抱えていますが、Matomoは設計段階からこれらの規制に準拠しています。

  1. データローカライゼーション: データを自分のサーバー内で完結させるため、意図しない国外へのデータ転送が発生しません。これは法的コンプライアンスを重視する法人やプロの運営者にとって、最も確実なリスク回避策となります。
  2. プライバシー・バイ・デザイン: IPアドレスの匿名化や、Cookieを使用しないトラッキング機能が標準装備されています。これにより、訪問者にストレスを与える「Cookie同意バナー」を表示させずに、法規制を遵守したクリーンな解析環境を構築できます。

まとめ

今回は、「Jetpack」の有料化に伴う統計解析の制限を回避し、自己のサーバーでデータ管理が完結する「Matomo Analytics」への移行手順を解説しました。

「Matomo Analytics」は単なる「無料の代替ツール」に留まりません。データの所有権を自ら保持し、DPRA(データプライバシー規制)にも設計レベルで対応している点は、これからのWordPressのWebサイト管理において非常に強力な武器になります。

「ツールに管理される」のではなく、「ツールを自分で管理する」こと。この小さな一歩が、長期的にサイトの資産価値を守ることに繋がります。「Matomo Analytics」で制限のない自由なデータ解析を手に入れてください。

未来がちょっとだけ変化しますよ!

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