アクアポニックスによる環境配慮型の地方創生

アクアポニックスの概要図

近年、就農者数は年間6万人から8万人規模で減少を続けており、農林水産省の農業労働力に関する統計によると、2021年の基幹的農業従事者数(ふだん仕事として主に自営農業に従事している人数)は、130万人程度と推計されています。

また、 基幹的農業従事者全体のうち90万人(69.2%)が65歳以上と推計されており、就農者の高齢化が進んでいることが理解できます。新規の就農者数は年間5万人程度であるため、基幹的農業従事者数の減少に歯止めがかかっていないのが現状です。

農林水産省は、ICT技術を活用した「スマート農業」を推進しており、農業所得と農業生産の増大によって、日本の農業が抱える様々な問題の解決を進めようとしています。

「スマート農業」とは、これまで人が行っていた作業をロボットや人工知能(AI)などに肩代わりさせることにより、肉体的負担や危険を伴う作業から就農者を保護し、農産物の生産性と品質向上を図ることを目的とした新しい農業スタイルです。

さらには、化学肥料や農薬の使用による土壌などの環境負荷への配慮やオーガニックによる食の安全性が求められおり、屋内で土に代わる素材を活用した栽培や水耕栽培が近年注目を集めています。

アクアポニックスによる環境配慮型の地方創生

世界はもとより我が国においても、現状の食料生産システムと農業は持続可能ではないといわれています。その理由には以下のようなものが挙げられます。

現状では、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー開発とその利用について、政府や自治体を中心に推進されていますが、世界と比較すると日本の環境対策への取り組みは大きく遅れをとっています。

また、国内において農業は衰退産業という意識が強く、就農者の減少と高齢化に歯止めがかかっていません。

これら個々の問題点や社会課題への具体的な対策としては、以下のようなものが考えられます。

これらの具体的な対策を網羅した持続可能な食料生産システムの構築と営農環境の改革を目指す手段として、Reafnexは「アクアポニックス」に注目しています。

アクアポニックスは、新しい就農機会の提供、農業所得と農業生産量の増大、6次産業化による雇用機会の提供や移住促進などの地方が抱えているあらゆる社会課題をまとめて解決できる可能性を秘めています。

アクアポニックスについて

アクアポニックスとは、淡水魚の養殖(Aquaculture)と水耕栽培(Hydroponics)を組み合わせた循環型の新しい農法のことです。水を循環させることで淡水資源を保護し、農薬や化学肥料を利用しない水耕栽培よって、地球環境の負荷を低減することができる優れた農法です。

アクアポニックスでは、淡水魚の養殖と野菜の生産を同時に行うことができます。淡水魚のエサの食べかすやフンを微生物分解して水耕栽培に循環利用することにより、養分を含んだ水が野菜に供給されます。そして、野菜が養分(リンや窒素)を吸収することによって水が浄化され、淡水魚に戻っていきます。

養殖では、魚のフンなどに含まれる水中のリンや窒素を除去しなけらばならないため、水を交換したり特殊な水循環装置に通して再利用する方法がとられるのが一般的ですが、アクアポニックスでは、養殖と水耕栽培を同時に行うことで、このデメリットをメリットに変えています。

アクアポニックスは、もともと自然環境に備わっている環境浄化作用の営みを人工的に模擬した農法であり、SDGsの目標15「陸の豊かさを守ろう」に対する環境負荷低減の具体的なアクションとして、世界中で注目されています。

水耕栽培への再生可能エネルギー利用

近年の水耕栽培では、屋内で白熱灯やLEDを活用した栽培方法に関する研究が進められています。野菜は白熱灯やLEDの光でも光合成することができるため、光を当て続けることで、露地栽培よりも速く一定の品質で成長させることが可能です。

また、光を当てる時間や光の色の種類を変えることで、野菜の形や大きさ、味や食感が変化することが研究で明らかになっており、新しいブランド野菜の開発が期待されています。

しかしながら、室温の管理、照明器具やポンプなどの設備では、多くの電力が必要となります。これらに利用する電力を、風力や太陽光から作られた再生可能エネルギーに置換することで、カーボンニュートラルの実現に貢献することができます。

ハイブリッド・アクアポニックス

Reafnexでは、アクアポニックスと再生可能エネルギーを組み合わせた「ハイブリッド・アクアポニックス」を提唱しています。

Hybrid Aquaponicsの概念図

個々の持つ優れた環境性能をハイブリッドに掛け合わせた未来に持続可能な食糧生産システムの実現と普及を目指し、SDGsの目標達成と環境配慮型の地方創生を加速させていきたいと考えています。

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