SDGs 目標14 海の豊かさを守ろう

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SDGs目標14の趣旨は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」です。この目標は、全部で10個のターゲットで構成されています。

日本では、2020年7月1日からプラスチック製買い物袋(レジ袋)の有料化がスタートしました。経済産業省のホームページによると、普段から何気なくもらっているレジ袋を有料化することによって、それが本当に必要なものなのか消費者自身に考えさせ、国民のライフスタイルを見直すきっかけとすることが目的と説明されています。

これは、プラスチックごみによる海洋汚染問題、地球温暖化対策や廃棄物・地球資源節約などの地球全体の課題に対する政府の取り組みの一つであり、SDGsへの貢献のためのアクションそのものです。

これまでも企業単位でプラスごみの削減が実践されてきました。人間が陸上部において投棄したプラスチックごみが川を下り海に流れ出し、ウミガメや他の海洋生物がクラゲなどと間違えて捕食してしまい死に至るケースが報告され、それをきっかけとして海洋生物を保護する目的ではじめられた企業の取り組みです。

自然界では、プラスチックは生物分解されず、紫外線などによる劣化で細かく(通常5mm以下の断片に)砕けて地球上の残り続けます。これをマイクロプラスチックといいます。マイクロプラスチックは、回遊魚などの体内に蓄積し、食物連鎖の中で人間の体内にも取り込まれる可能性があり、人体への有害物質の悪影響が懸念されています。

では、なぜプラスチック製買い物袋(レジ袋)は、プラスチックストローのように配布をやめないのでしょうか。それは、プラスチック製買い物袋(レジ袋)の有料化みよって、国民に対してライフスタイルを見直すきっかけを直接的に与えることが目的だからです。つまり、レジ袋有料化の取り組みは、全国民がそれぞれの生活の中で意識的に行動することによってSDGsの目標を達成しようとしているからなのです。

SDGsの目標14は、私たちの普段の生活の中で今も増え続けているプラスチックごみなどを減らし、海洋汚染に歯止めをかけ、地球上の生物に豊かな恵みをもたらす海を未来に継承していくための具体策が提示されています。その中でも、私たちが特に注目している4つのターゲットについて、掘り下げてみたいと思います。

14.1 海洋汚染を防止・削減する

2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

http://www.env.go.jp/policy/sdgs/guides/SDGsguide-siryo_ver2.pdf

このターゲットは、陸上活動の中心となる私たちの日々の生活から排出されるごみや下水・工業廃水などによる河川や海洋の水質汚染を防止し、豊かな恵みをもたらす海洋と地球を守ることを目指しています。

日本には、たくさんの河川があります。国土交通省の調べによると、一級及び二級河川は全国で21,147本あり、準用河川を合わせると35,474本にも達します。流域面積は35,474㎢で、日本全土の面積(377,975㎢)の約9.4%に相当します。

河川は海に流れ込んでいきます。私たちが河川流域で投棄したプラスチックごみは、やがて海に達して海洋汚染する原因となります。私たちが日常生活においてプラスチック製品の利用を控え、リサイクルやごみの分類を徹底することで海洋汚染を防止することが可能となります。

海洋に流れ込んだプラスチックごみは自然分解されることはありません。紫外線によって劣化し細かくなっていきます。およそ5mmほどに細かくなったマイクロプラスチックは非常に小さく、ごみとして回収することは不可能に近い状態です。そのような状態になる前に回収し、適切な処理を施す必要があります。また、マイクロプラスチックが、食物連鎖によって人体に悪影響を及ぼす可能性も示唆されており、私たちにとって見過ごすことのできない問題となっています。

私たちが不正に投棄したプラスチックごみが海洋汚染を引き起こしていることを正しく理解し、普段の生活からプラスチック製品の取り扱いに対する意識を高めていくことが、SDGsの目標達成のために重要なアクションの一つなのです。

14.2 海洋・沿岸の生態系を回復させる

2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靭性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。

http://www.env.go.jp/policy/sdgs/guides/SDGsguide-siryo_ver2.pdf

このターゲットは、海洋と沿岸の海洋生物などの生態系に悪影響をもたらす人間活動について見直し、環境保全と生態系保護によって海洋生物の個体数を増やし、私たちに豊かな恵みをもたらす海を未来へ継承することを目指しています。

水中にプランクトンが大量に発生して変色する赤潮によって、沿岸漁業や養殖漁業が甚大な被害を被ることがあります。これは、海洋や河川への排水による富栄養化が主な原因と考えられてきましたが、近年では、浅瀬に生息しプランクトンを捕食するアサリや牡蠣などの貝類、エビやカニなどの甲殻類、ゴカイなどの多毛類が極端に減少したことにより生態系のバランスがくずれ、海水などの浄化作用が低下したために発生するといわれています。

さらには、養殖魚の排泄物、養殖飼料の食べ残しや死骸の腐敗などが赤潮の原因になるという研究者もいるようです。沿岸や浅瀬の海洋生物をを保護し、生態系のバランスを良好な状態に保ち続けることも海洋汚染を防止する上で重要なことなのです。

乱獲により減少した水産資源を回復させるため、放流事業による資源保護を積極的に行うこと。養殖漁業(生け簀)を活用して水産品の市場供給量の調節を可能とすること。そして、強靭性(レジリエンス)の高いサプライチェーンを確立して、海洋資源利用の便益が未来に持続可能となるように開発を推進していかなければなりません。

14.7 漁業・水産養殖・観光の持続可能な管理により、開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済便益を増やす

2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。

http://www.env.go.jp/policy/sdgs/guides/SDGsguide-siryo_ver2.pdf

このターゲットは、漁業など水産業がもたらす経済効果を増大させるため、漁業、水産養殖及び観光の側面から、海洋資源利用の便益が未来に持続可能となるような開発と利用方法のあるべき姿を追求し、未来に持続可能な状態を保ち続けることを目指しています。これを達成するために、私たちは以下の3つのアプローチがあると考えています。

  1. 海で遊ぶ
  2. 海を学ぶ
  3. 海を食べる

海で遊ぶ

日本は周囲を海で囲まれており、古来から海と共存してきました。海は観光業にとって重要な観光資源のひとつです。しかしながら、地方の人手不足、地球温暖化や沿岸開発の影響による砂浜の減少などの様々な問題によって海水浴場が相次いで閉鎖され、観光客や観光業者の海離れが年々進行しているる状況なのです。

海への関心が人々から薄れてしまうことは、海洋資源の持続的利用に対して決して良い状況ではありません。海水浴場などのビーチが抱える問題の一つには、ごみの不法投棄が挙げられるでしょう。特に投棄されたプラスチックごみは、海洋生物に直接悪影響を及ぼします。

海水浴場などに利用されるビーチについては、管轄する地方自治体や地元ボランティアなどにより大規模な環境美化が図られていますが、それ以外は必ずしも環境美化がいきわたっているわけではありません。

海で遊ぶことで、そこに集うすべての人たちが環境美化の意識を持って行動することができれば、結果的に沿岸漁業、養殖漁業や観光業に対する経済便益の増加が見込めるのではないでしょうか。

海を学ぶ

日本にはおよそ150もの水族館があるといわれており、世界でも有数の水族館数を誇っています。日本が四方を海に囲まれた海洋国家であることのほか、大水槽を設置するために必要な巨大透明アクリル合板を製造できる日本企業の高い技術力に支えられて、日本の水族館数は増加してきました。

水族館は私たちに癒しを与えてくれるだけではなく、海洋生物などの学術的調査種の保存活動教育エンターテインメントと大きく4つの役割担っており、SDGs目標14に対する貢献活動の中心を担う存在といってもよいでしょう。

近年では、海洋の温暖化や乱獲など様々な理由で漁獲高が減少しています。特に回遊魚のマグロ、カツオやサンマなどの日本の漁獲高は大きく下げています。一方、世界では健康志向の高まりで魚食が見直され、漁獲量が近年増大しているといわれています。

水産資源が減少しているにもかかわらず漁獲量が増加しているということは、漁獲量に対する水産資源の個体数の回復が追い付かなくなる恐れがあり、このまま放置すれば、やがて海から魚の姿が消えてしまう可能性すらはらんでいます。

海洋資源を未来に持続させるためには、需要と供給を把握して的確に漁獲量の調整を行い必要以上に獲らないこと放流事業や養殖事業を積極的に展開して水産資源の保護に取り組むことが重要です。

海洋資源の保護を確実に実行するために海洋プロフェッショナル人材をたくさん育成することも、SDGs目標14の達成に欠かすことのできないアクションなのです。

海を食べる

最近では、海洋の温暖化が進行しており、日本近海に本来生息していなかった南方系海洋生物が増加したことにより、日本の沿岸域の環境が大きく変化しています。アイゴ、ブダイやイスズミなどの藻食魚類による海藻の食害が深刻を極め、そこに追い打ちをかけるようにウニが海藻を根元から食べてしまうため、海藻が繁茂しなくなる磯焼け現象が各地で拡大し、それに伴ってサザエやアワビなどの個体数も減少し、沿岸漁業に大きなダメージを与えています。

そのような状況の中、各地の大学機関、水産試験場やボランティアグループなどが藻場の再生に取り組み、沿岸海域の生態系回復に努めています。また、食害をもたらす海洋生物の駆除を行っていますが、水産加工品としての利用方法がなく産業廃棄物になってしまうといった問題も抱えています。

最近、廃棄されるキャベツなどの野菜を活用して、磯焼けの原因であるウニを養殖する研究が全国で実践され成果を挙げています。陸のフードロスを海で再利用することにより、無駄に捨てられていた食品に新たな価値を与えることができるようになりました。まさに、未来に持続可能な水産加工開発の形態の一つということができるでしょう。今後は、このような新しい漁業スタイルが次々に開発されていくことでしょう。

このようにして開発された水産加工品について、消費者が正しく理解して積極的に消費行動につなげることも、沿岸漁業を守るために大切なことなのです。食育もSDGsの目標達成のために重要なアクションの一つなのです。

14.b 小規模・零細漁業者の海洋資源・市場へのアクセスを提供する

小規模・沿岸零細漁業者に対し、沿岸資源および市場へのアクセスを提供する。

http://www.env.go.jp/policy/sdgs/guides/SDGsguide-siryo_ver2.pdf

このターゲットは、小規模・沿岸零細漁業者が大規模漁業者と等しく沿岸海域で漁を営み、獲った魚介類を販売して収益を得ることが可能な環境の実現を目指しています。

漁業協同組合は、漁業者が出資して構成された組合組織であり、漁業資源の管理や漁業権の管理、獲った魚の競り(販売)、放流事業、船舶燃料の共同購入や預金業務など多岐にわたる事業を行っています。組合員たる漁師は、魚の販売を漁協に委託することにより、漁に専念し収入を得ることができます。漁業者にとって漁協はなくてはならない存在なのです。

しかしながら、零細漁業者(家族で経営する漁師)にとっては、市場(漁協)全体の水揚げ量が価格を左右するため、思うように収入を得ることができない場合があります。小ロットや少数の販売で安定した収益を得るためには、ECサイトなどの活用により商品のブランド力をアピールし、独自の販路を開拓しながら、漁業者自ら価値を設定できるようにすることが肝要です。

例えば、養殖や生け簀であれば受注販売がしやすく、出荷量・漁獲量の調整や水産資源保護に寄与できるかもしれません。ある特定の魚種に限定した専門漁師といった選択肢もあるでしょう。調理法やおすすめの食べ方とセットで旬の魚介類が販売することにより、消費者の購買意欲を掻き立てることができるのではないでしょうか。

独自の販路を持つことにより、これまで売り物にならず近所にタダで配っていた地魚でも収入に変換できるようになります。また、直売などによって漁業者と消費者が直接交流することで、意識改革やモチベーションの向上にもつながることでしょう。

地産地消の拡大や魚食普及を促進し、将来を担う若者たちが後継者として漁業に魅力と可能性を見出し、斬新で柔軟なスタイルに進化させていくことも、漁業に対する持続可能な開発のためのアクションなのです。

編集後記

日本はかつて世界有数の漁業大国でしたが、近年では漁獲量が年々減少し、漁業就業者数の減少や漁村の高齢化も進んでかなり危機的な状況にあります。このままでは、日本の水産加工品は海外からの輸入への依存度がさらに高まってしまい、日本の漁業が壊滅してしまいます。

筆者も釣りが好きで、漁港や堤防で豆アジなどをよく釣っていましたが、最近では全くと言っていいほど釣れません。それほど、日本の沿岸部や周辺海域には魚がいないということの表れなのでしょう。

今後訪れるかもしれない食糧危機に対して、日本の低い食料自給率と高い輸入依存の状態にあることは大変危険な状態です。追いかけて獲る漁業から飼育する漁業に速やかに舵を切らなければならない切迫した状況と判断することができます。すでに構造的に破綻してしまった日本の漁業を救うための具体的な対策と改善が図られなければ、近い将来、私たちは魚を食べることができなくなるかもしれません。

みんなで海を守ることの大切さについて考え、それぞれの立場で実践できることを確実に実施してSDGsの達成を目指しましょう。

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